イソステアリルアルコールは非常に多くの製品に入っています。
多くの製品に入っているということは、おそらく安全で使いやすい成分だと予測できますが、本当にそうなのでしょうか。
イソステアリルアルコールにはどのような効果・役割があるのか、本当に安全なのか、みていきましょう。
イソステアリルアルコールとは
イソステアリルアルコールは液状の油分で、アルコールに分類されます。
化粧品、シャンプー、育毛剤、ハンドクリームなど、肌への使用を目的としたあらゆる製品に配合される成分です。
効果・役割
イソステアリルアルコールの効果・役割
- 乳化
- 毛髪のコンディショニング
- 保湿(エモリエント)
イソステアリルアルコールには育毛効果はありませんが、製剤にするために必要な乳化という役割があります。
そのほか、毛髪のコンディショニングや保湿と、美容効果も持っています。
以下、ちょっとした補足です。
乳化
水と油分が分離しないようにします。
毛髪のコンディショニング
髪のツヤやスベリを良くします。
保湿(エモリエント)
皮膚から水分が蒸散するのを防ぎ、肌のうるおいを保ちます。(エモリエント効果)
毒性・刺激・アレルギー
イソステアリルアルコールの毒性・刺激・アレルギーについてまとめると、以下のようになります。
- 刺激性はほとんどない
- 軽度のアレルギー性あり
- 特別な毒性はなし
イソステアリルアルコールのマイナス面は軽度のアレルギー性があることですね。
アレルギーが多い人、アトピーになりやすい人は特に注意しましょう。
ここからは、上記の根拠・理由です。
刺激性はほとんどない
こちらはヒトを対象とした刺激性試験の内容と結果です。(かなり簡略化しています)
- 19名のヒトに対し、25.0%イソステアリルアルコール含有ワセリンを用いた皮膚刺激性試験を行ったところ、皮膚刺激性は認められなかった。
- 同じように、25.0、27.0、28.0%イソステアリルアルコール含有口紅3製品を用いた試験においても、皮膚刺激性は認められなかった。
ヒトに対しては刺激がないことがわかりますね。
ですが、刺激性が全くないわけではありません。
こちらのウサギを対象とした刺激性試験の内容と結果をみてください。(かなり簡略化しています)
9匹のアルビノウサギに25.0%イソステアリルアルコール含有口紅製品0.1mlを用いた閉塞パッチテストを行ったところ、軽度紅斑1、わずかな紅斑7、紅斑なし1だった。
この実験ではウサギに対しては軽度の刺激性があることがわかりますね。
イソステアリルアルコール含有の他製品を用いた実験でも、同様の結果が出ていることから、ウサギにとって軽度の刺激物である可能性が高いでしょう。
ヒトに対しては刺激は見られなかったので「刺激なし」でもいいのですが、ウサギに対してはわずかに刺激が見られたので、「刺激性はほとんどない」としました。
軽度のアレルギー性あり
こちらはヒトを対象としたアレルギー性(感作性)試験の内容と結果です。
148名のヒトを対象に、イソステアリルアルコールの感作性を調べるために用意した成分の異なる4つの制汗剤を用いて、試験を行ったところ、イソステアリルアルコールを含む場合に最も感作性が強くなった。
上記以外にも、2つの試験で軽度の感作性が認められているため、「軽度のアレルギー性あり」としました。
特別な毒性なし
ラットにおいてのLD50は「15~20g/㎏」とされています。
これは、口から摂取した際の急性毒性は、お酒に入っているアルコールよりも低いことを示します。
そのほか、反復投与毒性、遺伝毒性、がん原性、生殖発生毒性なども現在確認されていたいため、おそらく「特別な毒性」はないと考えられます。
まとめ
以上、『イソステアリルアルコールの役割と毒性|育毛剤の成分解析』でした。
多くの製品に配合されているだけあって、安全性の高い成分でしたね。
ただ、アトピーになりやすい人などは、二の腕などで簡易的なパッチテストを行った方がいいかもしれません。
今回のまとめ
イソステアリルアルコールは...
- 乳化・毛髪のコンディショニング・保湿の役割がある。
- 毒性はなく、刺激性もほとんどないが、アレルギーがでることがある。
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